『海辺のカフカ』が終わる頃、私の夏も終わる?

9月の頭、空の景色に秋の気配を感じていたら、どうやらそのまま本当に秋になってしまったようです。

まだまだ暑さがぶり返すだろうなって思っていたのに。確かに暑い日もあるけど、空気感は明らかに秋。走ってる途中で、ちょっと立ち止まったりすると、汗を冷たく感じる。

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夏の陽を跳ね返して青々としていた木の葉も、気が付いたら道を彩る落ち葉に姿を変え。

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これも毎年夏の終わりを感じる景色の一つ。ランニング道路が急に広く感じます。

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今年も夏の初めにランニングしながら聴き始めたオーディオブックの『海辺のカフカ』も、夏の終わりと共に聴き終わりました。

約19時間なので、1日1時間ずつ聴いて19日。大体1日おきペースで走っていたので、約40日って感じかな。なので、ちょうどひと夏。

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『海辺のカフカ』の中に、物語的にとても重要な場所の一つとして山小屋が登場するんだけど、本の終わりの方で主人公のカフカがその山小屋を去るシーンがあります。

そこを聴いていたら、「あー、カフカが山小屋を去ると共に、私の夏も終わるんだな」みたいな感傷に陥りました。

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でも、ずっと、なんで『海辺のカフカ』と夏とが(わたしの中で)結びつくのかなって思っていました。

オリジナル(日本語)を読めば、明確な時期の話があるのかもしれないけど、英語で聴いている限り、(これまで何度も聴いているのに)どんな季節の話なのか出てこない。

100%理解して聴いているわけではないので、もちろん聞き逃している可能性もあるけど。

が、今回、「always in the summer」という言葉が何回か出て来ることに気が付いた。物語の “現在” を直接言及している言葉ではないけれど、やっぱり夏を感じてもいいのかな。


『海辺のカフカ』とニューグランジ遺跡とは何の関係も無い?

いやー、今日は暑かった。本当に暑かった。

朝の天気予報で、今日は今年一番の暑さになり、東京都心では37℃超えの予想って言ってました。「可能であれば外出を控えることをおススメする」ってくらい暑くなると。

なるほど外を見るとピーカンで、いかにも暑そうです。

因みに、「ピーカン」ってのは快晴のことで、映画業界で撮影時に使われてた言葉だそうです。語源は諸説あるようで、快晴の空がタバコのピース缶の色に似ていたなんて説も。

そんな説も素直に納得しそうな青空(ピース缶の青を知ってる人も少ないと思うけど)。

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ランニングの準備をしていたら、奥さんが「今日は走るのを止めた方がいいんじゃやないの」と言ってましたが、「いや、大したことないだろ」って返して外に。

甘く見てました。玄関から外に出るとモワッとした熱気が襲い掛かってきます。そして日陰から出ると、その日差しの勢いに圧倒されそうでした。

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家の中にいて、外は暑そうに見えるなって思っていても、いざ外に出てみると風が吹いたりしていて、体感的には想像していたほど暑くないってことが多いのだけど、今日は違った。

皆さん、天気予報を聞いて「外出を控えて」るのか、走っていてもほとんど人と出会わない。確かにここまで暑いと、 “生命の危険” を感じなくもない。

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先日も触れた村上春樹さんの『海辺のカフカ』を、今日も聴きながら走っていましたが、これまで何度も聴いているのに初めて気が付いたことがあります。

本の中の結構大きなキーワードの一つに「entrance stone」(入口の石)というのがあるんだけど、私が気が付いた中身は置いといて、この「entrance stone」に関して少し。

いや、今回「entrance stone」で検索してみたら、アイルランドのニューグランジ遺跡というのがヒットした。今から5000年も前に造られたもので、世界遺産にも登録されてる。

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で、このニューグランジ遺跡の入口にある石が「entrance stone」って呼ばれてる。

もちろん、本に出て来る石とは大きさも形状も違うけど、本の中での石の “意味” と、5000年前の遺跡の入り口にある石との間に何となく繋がりを感じてしまいました。

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上の写真、ちょっと分かり難いと思いますが、下の川面に反射した太陽が反射して、上の橋げた(?)にユラユラと夏らしい紋様を描いています。

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さて、家に帰ったら冷え冷えのそうめんでも食べながら、夏の甲子園を応援しましょうか。


ブックシェルフスピーカーとスマホに時代の変遷を痛感し

今日明日にも九州から近畿近辺に台風が上陸しそうな勢いですが、関東地方にはまだ台風の影響は出ていないようです。

太陽ギラギラと共に湿度が高いようで、とにかく暑い。今日も午前中、ジョギングに出かけてきたけど、汗がダクダクと流れていく。タラタラ走りなのに、汗はダラダラ。

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以前にも触れたことがあるけど、毎年夏になると村上春樹さんの『海辺のカフカ』を読みたく(朗読本なので聴きたく)なって、今年もここ1週間ほど走りながら聴いています。

で、今日も聞きながら走っていたら、「ブックシェルフスピーカー」という言葉が出てきて、なんかとても懐かしく感じました。

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私がオーディオに凝っていたのはもう30~40年も前のこと。当時、ステレオ装置の中心にいたのはセパレートステレオと呼ばれるものでした。

木製の家具調ステレオ装置で、レコードプレーヤ、アンプ、チューナーが格納されたセンターユニットと、その左右にフロア型スピーカーが配置され、この3点で構成されてました。

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このセパレート型ステレオに代わって主役の座についたのがコンポーネントステレオです。プレーヤー、アンプ、チューナー、そしてスピーカーを個別に組み合わせて構成します。

この時のスピーカーとしてよく使われたのがブックシェルフ型スピーカーだったんです。簡単に言えば、本棚にセッティングして使う小型の(大概は台座の無い)スピーカーです。

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『海辺のカフカ』が発表されたのが15年前。その本の中で30年くらい前のものとして出てきたのが、このブックシェルフスピーカーなので、換算すると1970年前後になるのかな。

学生運動の話も出て来るので、年代的にはやっぱり1960年~1970年くらいでしょうね。

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もちろん、今でもブックシェルフスピーカーという名称は存在しているようですが、個人的にはほとんど聞くことのない単語のように思えます。

ちょっと話は変わるけど、最近よくAmazon のプライムビデオでアメリカのシリーズもののTVドラマを見てるんだけど、ちょっと古いものでも特に古さを感じません。

ま、それはそうなんだけど、いつ頃放映されたものなのか分からないので、感覚的には去年くらい?なんて思いながら見てるわけです。

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で、この前見ていてフッと気が付いたのは、登場人物の使ってる携帯電話がスマホではなく、折り畳み式の携帯電話だったんです。

それを見て思いました。おっと、結構古い(10年くらい前?)のを見てた?って。

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だからなんだってこともないんだけど、たとえばドラマの中のアメリカの街並みや車や服装を見ていても、少なくとも私には10年前との違いには気がつきません。

でも、携帯電話のような進化の激しい身の回り品には、そういう時代の移り変わりが顕著に(目に見えて)現れてくるんだなって。

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汗をダラダラ流しながら、そんなことを考えながら走っていました。


上野の森は雨、美術館の中ではイワシの雨に出合う!?

秋と言えば、芸術の秋? 今日は芸術に親しもうと上野公園の東京都美術館を訪問。

上野界隈に到着したのはちょうど昼食時。取り敢えず腹ごしらえをしてから美術館に行こうということで、アメ横を散策したんだけど、なんか私の知ってた町とはまるで違ってた。

特に小さな食堂(?)とかは、日本ではなく東南アジアの下町みたいな錯角に。もっとも、私が慣れ親しんだアメ横って、もう何十年も前の話だし、変遷は人の世の常だしね。

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それにしても、平日なのにこの人出。アメ横は、きっと毎日がこんな感じなんでしょうね。

上野公園に到着。東京国立博物館の正面に位置する広場では、「アソビを出前中」というイベントを開催中。雨がパラパラと降り出してきたのが残念そう。

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上野公園の一角にあるスターバックスコーヒーは外まで長蛇の列。それにしても人が多いな。

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目指す東京都美術館は、ちょうど上野動物園の裏側に位置しています。今日は天気予報でも雨模様と言っていたのに、それでも動物園にこんなにたくさんの人が足を運ぶんですね。

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東京都美術館で開催されている「キュッパのびじゅつかん」という展示。このキュッパという愛らしいキャラクター、知ってました?

物を集めてくるのが大好きな丸太の男の子キュッパが主人公である『キュッパのはくぶつかん』は、ノルウェーの作家オーシル・カンスタ・ヨンセン氏の絵本です。

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東京都美術館では、「モネ展」も開催されていました。かなりの人気のようで、ご覧の通り列を成しています。因みに、一般の当日券は1600円。

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本日お目当ての「極美展」。以前、同じ会社組織に所属していた先輩が絵を出展し、賞を頂いたとのことで、その絵を見るのが今回の目的。

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油絵、水彩画、版画、水墨画、ガラス器等々、小品から大作まで様々な作品が展示されています。

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出展作の中で私が最もインパクトを受けたのは、この作品。題名には、「鰯が降る」と。思い出したのは、村上春樹さんの著作『海辺のカフカ』。何しろ、村上作品の中でも一番のお気に入りだし。

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外は本格的な雨になってきたようです。今日は夕方から、台風並みの低気圧で雨風がとても強くなるとのことなので、早めに帰宅することにしましょう。

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村上春樹著 「海辺のカフカ」(Kafka on the Shore)

前回、南箱根の避暑地で北村薫さんを読んでいたという話をしましたが、これまで夏にはランニングをしながら村上春樹さんの「海辺のカフカ」を読むのが、“神聖な儀式”のようになっていました。

読むと書きましたが、実際にはここで書いた通り、Audible で購入したオーディオブックの Kafka on the Shore を“聴く”んですけどね。だからこそ「ランニングしながら」なんです。

何度読んでも(聴いても)面白いです

「海辺のカフカ」って結構長編で、オーディオブックの長さ的には19時間です。その意味では、ある程度まとまった(そして落ち着ける)時間が必要なので、夏休みの間に集中的に聴いていたという事情もあったわけです。

そう言えば、「海辺のカフカ」の季節っていつだったかなー。記憶の断片をつなぎ合わせると、多分夏だったと思いますが、ここでも書いた通り、この本の中で“季節”はあまり大きな意味を持っていないように思います。

何年間も繰り返し聴いているのは、もう単純に面白いからです(英語のオーディオブックなので、日本語以上に聴くたびに新鮮に感じるからってこともありますが)。

海辺のカフカ2村上春樹さんの本は全部読んで(聴いて)いますが、わたし的にはこの「海辺のカフカ」が一番のお気に入りです。

でも、どこが好きなのかなあ? この本も、他の村上さんの本同様、普通の起承転結があるわけではなく、正直「訳が分からないまま終わってしまった感」いっぱいなんですけどね。

いわゆる村上ワールド炸裂って感じですが、それでも、田村カフカ少年の成長物語として見ると、他の本よりは話の主体がしっかりしているように感じられるのも好きな理由の一つかも。

登場人物や“場所”の魅力が統合して全体の魅力になってるのかな

15歳の少年、田村カフカと、知的障害の(ネコと会話が出来る)老人ナカタさんの物語が交互に語られていきます。

田村カフカは、「世界で最もタフな15歳にならなければ」と胸に秘めながら、父親の携帯電話と僅かな現金だけを持って15歳の誕生日の日に家出をします。

夜行バスに乗って香川県高松市に向かった田村カフカは、高松市に宿をとり、そこから近郊にある甲村記念図書館に通い始めて・・・・・そして物語が動いていきます。

先ず、15歳で未知の世界に家出っていうシチュエーションがいいなあ。それも夜行バスで。旅情をかきたてられます(主人公的には「おい、おい」って感じでしょうが)。

そして高松に着くと、その後いろいろと深く関わっていく(住み込みでアルバイトをさせてもらったり)ことになる甲村記念図書館にホテルから通うんですが、この図書館がまたいいんだな。旧家を改造した私立図書館という設定も、そして雰囲気も、もう本当に魅力的なんです。

実際にあったらぜひ訪問してみたい。私もこんな図書館で時を過ごしてみたいって思います。

この図書館で働く美青年の大島さんも魅力的ですし、大島さんとの関わりの中で、田村カフカは成長していくのですが、その二人の関係のあり方もまた魅かれるものがあります。

もしかしたら、「自分一人で生きていくんだ」という決意に魅かれているのかも

物語的には、この大島さんが田村カフカの理解者となり、先生(導く人)的な役割を担っていくのですが、大島さん所有の山小屋でのシーンも大好きです。

この山小屋、山林の麓にあって、ガスも電気も水道もないところなんですが、そこでの文明に邪魔されない生活(というほど長く滞在するわけではありませんが)は、読んでいてワクワクします。

実際には、私なんかが行ったりしたら夜の闇が怖くて一晩も過ごせないと思いますけど。

そんな全ての要素が混ざり合って、なんか心地よい世界観を作り上げているのが私にとっての大きな魅力のように感じます。

田村カフカが、ジムのトレーニングを日課にしているところも、わたし的にはツボにはまっていました。なにしろ、「世界で最もタフな15歳にならなければ」いけないのですから。

更に言うと、お金を節約するために食を細くするような努力もするんですが、いやー、そのストイックさ加減が好きです。

同時並行のもう一つの物語も

もちろん、田村カフカだけではなく、もう一人の主人公ナカタさんとホシノさんのコンビも十分に魅力的です。

ナカタさんは知的障害があって文字を読めないのだけど、ネコと話が出来たり、空から魚を降らせたり(?)することができます。

ホシノさんは、電車に乗れないナカタさんをトラックに乗せて四国まで連れてってあげる気のいい青年です。

この二人の道中記がまた、なんかホンワカしていて読んでいて気持ちがいいんです。

ホシノさんが喫茶店でクラシックに出会ったり、特に本筋とは関係のないような描写が、(最初は)何の目的があるのか分からない旅に、現実感というか、その街のリアリティを感じさせてくれるのに一役買っています。

村上春樹さんの本のあらすじを知ったからといって

まあ、村上春樹さんの本のあらすじや登場人物にどれだけの言葉を費やしたとしても、それで説明できることなんて本当に微々たるものでしかありません。いつもながらの現実世界と現実でないものの境界とが曖昧な村上春樹ワールドは、読んでみて初めて「ふーん」と思えるものでしょう。

その意味では、100人読んだら100通りの、百万人読んだら百万通りの村上春樹ワールドが出来あがるんだと思います。

読む人ごとの解釈や理解がある。それこそが村上春樹さんの一番の魅力なのかもしれません。

因みに「カフカ」って、チェコ語で「カラス」のことだったんですね。Audible のオーディオブックのジャケット(?)に、カラスがいる理由が初めてわかりました。



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