古舘春一著 『ハイキュー!!』 -- 良かった半分を盛大に喜ぶ

ここ2~3年、マンガで面白いなって夢中になっているのは、将棋を題材にした羽海野チカ さんの『3月のライオン』と、北海道の大蝦夷農業高校を舞台にした荒川 弘 さんの学園マンガ 『銀の匙』

そしてもう一冊が、今回紹介する古舘春一さんの『ハイキュー!!』という、高校バレーを題材にしたマンガ。この本、JCの最新巻は第16巻ですが、累計発行部数は1400万部を超えているそうです。

ハイキュー

因みに、マンガの歴代発行部数を調べてみたら、1位は『ワンピース』。とにかくダントツの3億2000万部。『SLAM DUNK』は1億2000万部の第8位。『BLEACH』も8200万部。スゴイ!

もう一つ因みに、「ハイキュー」とは「排球」と書いてバレーボールのこと。初めて知りました。これを知る前、何となく「ハイチュー」みたいなノリで頭の中で発音していたけど、全然違いましたね。

「多分 自分で一番 わかってます」

さて、第16巻の副題には「元・根性無しの戦い」とあります。2つ前の第14巻の副題は「根性無しの戦い」でした。この “根性無し” とは、烏野高校バレーボール部1年の山口忠君のこと。

第14巻で根性無しだった山口君は、第16巻では “元” 根性無しになっています。この山口君がどんな成長をし、そしてどんな戦い方をしていくのかというのが第16巻のテーマです。

仲のいい(?)友達がバレーボールをやってるからという理由でバレーボール部に入った山口くんは、飛び抜けて背が高いわけでもなく、アタッカーとして素晴らしいわけでもなく、これといった特徴(あるいは武器)がありません。

そんな彼が、同級生の活躍する姿を見て、こんなことを呟きます。

俺も あいつらみたいに 
自分の身体を操りたい!! 
ボールを操りたい!! 
強い奴らと対等に戦いたい・・・!!!

この気持ちは、スポーツをやっている人はもちろん、スポーツをやっていない人にも十分に理解できますよね。だって、この気持ちって、スポーツに限らないですから。

そして何の武器も持たない山口君が武器として身につけたいと選んだのがサーブです。

OBの方に教えを請い、一生懸命練習し、ある試合のセット終盤の大事な場面に初めてピンチ・サーバーとして投入されます。そしてビビってしまいます。“守り” へと逃げてしまうんです。

コートから引き上げてくる山口くんに凄い勢いで怒鳴ろうとしたコーチに、2年生の先輩がこんなことを言いながら押しとどめてくれます。

「多分 自分で一番 わかってます」

そう、逃げたことを一番良く分かっているのは自分なんです。自分のことを根性無しで、くそカッコ悪いって、誰よりも分かっているんです。

「お前はもう 今までとは決定的に違う選手(プレイヤー)だ」

その試合の終了後、山口くんはコーチの元に行き、お願いをします。

「俺に もう一回 チャンスを下さい」

って。そして第16巻、山口くんは根性無しから “元” 根性無しへと成長します。

次の試合へと向かう山口くんにサーブの師匠であるOBが声を掛けます。「コーチのトコへ自分の意思で行って来たんだろ」って確認しながら、こんな言葉を言います。

「じゃあ お前はもう 今までとは決定的に違う選手(プレイヤー)だ」

山口くんが、「次はもう絶対に逃げない」って “覚悟” を決め、そしてコーチの元にお願いに行った瞬間から、彼は “元” 根性無しとなったんです。

そして試合に出て活躍をし、そのセットが終わって帰って来る山口くんに2年の先輩が「ナイスサーブだったぞ!!」って声を掛けます。

それに対して山口くんは、「でも まだまだです 半分くらいしか 良いの打てなかったし・・・」と返しますが、この後この先輩の言葉がいいんです。

「じゃあ 良かった方の半分を 盛大に喜べ!! 
反省も後悔も 放っておいたってどうせする!
今は良い方の感覚をガッチリ掴んで
忘れねえようにすんだよ!!」

1点1点を積み重ねていくしか道は無い

決勝への進出をかけた大事な一戦の終盤、両チームが死力を尽くして戦っています。

バレーボールはスパイクで跳んで、ブロックで跳んで、おとりで跳んでという動きを短いスパンで何度も繰り返すスポーツ。だから「重力との戦い」でもあるって作中で誰かが言っていました。

必死に 真摯に 1点1点を 点してゆく他 道は無いのだ

ろうそく

あー、本当にそうなんだよなって。

試合が始まっていきなり25本目のろうそくに火を点すことは出来ない。先ずは1本目に火を点し、2本目に移り、10本、20本、そして24本目に来てやっと次が25本目。

そう、当たり前のことなんだけど、その当たり前のことを人生の中ではついつい忘れてしまっているのも事実。

何事かを成し遂げたいと始めて、1本目の火も点いているかどうか怪しいのに、いきなり10本目くらいのろうそくに火を点ける方法はないかなって探している自分。

そんな反省もしてしまった第16巻でした。


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