大前研一著 『ザ・プロフェッショナル』 -- 32億人規模のニーズ

昨日の記事で、大前研一著 『ザ・プロフェッショナル』に軽く触れたついでに改めて読んでみたら、面白い記述がありましたので、少し紹介しようかな。

ザ・プロフェッショナル昨日も書きましたが、2005年に発売された本なので、既に10年が経過しています。

今の時代の10年は、ビジネスの仕組みも、考え方も、そして多くのものを「過去の遺物」に変えてしまうのに十分過ぎるほど長い時間です。

なので、中身の一部はすでに陳腐化しているものもあります。ただ、普遍的に通用するであろう考え方もある訳で。

ただし、「普遍的に通用する」ってことは、大前さんの読者なら、この本以外のどこかで読んだことがあることも多い?

いずれにせよ、面白さも説得力も十分ある内容です。

ところで先日、「最近の旅行会社は、こんな方法でお客さんを集めてる」みたいなTV番組をやっていて、結構興味深く見させて頂きました。登場するのは、最近話題のドローンとYouTube。

旅行会社は売り込みたい観光地でドローンを飛ばし、そこの景色を空撮します。そして、その動画をYouTubeにアップするのだそうです。

すると、その動画に大量のアクセスがあり、結果たくさんのツアーが売れる、って仕組みだとか。

陳腐な感想だけど、時代は急速なスピードで動いているんだな、そういう時代なんだな、って。

変化を恐れると、知的怠慢に陥っていくのかな?

さて本書は、大前さんの著作なのでビジネス書に分類され、題名のプロフェッショナルという言葉も、「顧客第一主義に徹してる人」みたいな意味合いだと思います。

そして、「顧客に最高の価値を提供するためには、『知的怠慢』を排していく必要がある」とのことですが、この知的怠慢ってのは、自らの成長を放棄することです。

ということは、何もビジネスの場面に限ったことではないんじゃないかな。

多くの人は、自分の限界を自分で決めています。そしてそのほとんどが、かなり手前(無理のないところ)に設定されている筈。なぜなら、これまでの自分の経験範囲内に留まろうとするから。

これは楽チンですからね。失敗することも少なくなるから、周囲から怒られることもなければ、バカにされることもありません。

このような人は、「できるわけがない」と思ったとたん、すぐに諦めてしまいます。これこそが知的怠慢です。なぜなら、無理をしない限り、成長はないから。

知的好奇心が中途半端な人、すなわち知的に怠惰な人は、ほぼ例外なく自己防衛的で、変化に後ろ向きです。このような人たちは、新しいことへの興味に乏しく、常日頃から、目新しいこと、自分の知らないことを貧欲に吸収しようという姿勢が身についていません。

ここで前回のダーウィンの言葉を再び引用しましょう。

最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるでもない。
唯一生き残るのは、変化できる者である。

知的怠慢な人は、変改に後ろ向き。ということは、彼らは生き残ることの出来ない人たちだってこと。私たちを取り巻く環境がめまぐるしく変化していく現代においては、特にね。

世界中32億人が、ほとんど同じ情報を同じタイミングで得ることに

そして、今の時代の “変化” というのは、地域限定ではないんですよね。日本の “変化” は世界に波及します。逆もまた真。どこかの小国で起こった変化が日本に影響を及ぼします。

それも時間を掛けてではなく、瞬時に。あるいは世界同時に。それを現実としているのが、何を隠そう(隠すまでもありませんが)インターネットの普及です。

これは、確か大前さんの『考える技術』の中にあったと記憶していますが、「2004年時点で、インターネットに繋がっている人は世界に8億人いて、この数は毎年0.5億人くらいずつ伸びている」って。

さて、現実はどうかというと、2015年の世界におけるインターネットの利用者数は、31億7千万人。2014年が29億4千万人だったので、1年間で2億人以上も増えたことになります。

インターネット

大前さんはこんなことを書かれています。

「インターネットと出合った人たちは、使い始めて1年目は電子メール、2年目にはパワーポイント、3年目になると検索エンジンを使い始めたりしながら、次第に活用範囲が広がっていく」

そして、5年目になると、

「国籍や民族、宗教、言語、そして年齢を超えて人々は同じような挙動、立ち居振る舞いを始めるようになる」

って。「なるほどなー」って思いますね。

昔は、口承伝承によって、民族性とか国民性といった様々な価値観が形成されてきたのが、インターネット村の住人たちは、わからないことがあると、祖母に聞くのではなく世界最大の検索エンジン「Google」で検索するのです。

その結果、みんなが似たような立ち居振る舞いをするようになる、というのが大前説です。

地域や途上国、先進国を問わず、世界中32億人の人々が、ほとんど同じ情報を同じタイミングで得ることになるのです。みんなが同じ情報をベースにするのだから、その人たちの行動パターンやライフスタイルが似てくるのは、当然と言えば当然。

これからの時代、企業や産業の突然死も日常茶飯事に?

このパワーたるや、凄いものがありますね。何しろ32億人です。

前回の話で言えば、アナログレコードからCDへの変遷も、そしてCDからダウンロードへの移り変わりも、個人的にはかなり “急激” にという印象がありました。

でも、当時のインターネットの普及率と今のそれとを考え合わせると、これからの “変革” というのは、まさに “瞬時” に起こるものなのかもしれません。

昨日まで繁栄していた企業や産業が、突然死なんてことも起こりえる時代なのでしょう。32億人規模のグローバル市場のニーズに抗うことなど不可能なことですから。

このような状況を、あたかも見てきたかのごとく頭に描けるかどうか・・・・・リビングルームの5年後の姿、車の5年後の姿、財布の5年後、書斎の5年後が想像できますか。

今とはドラスティックに変わっているはずの、そこに見えてくる新しい事業機会。そこに忍び寄る企業や産業の突然死。そうした大きな流れに対して、企業を正しく導いていける集団・・・・・これこそが21世紀のザ・プロフェッショナルである、と大前さんは言います。

「これからの世界を動かすのは、国同士の戦いでも企業同士の戦いでもなく、個人同士の戦いになる。優れた個人同士の戦いがすべてを飲み込み、一瞬にして世界地図を塗り替えてしまうのだ」

ここ10年の世界の動きを見てみると、この大前さんの予測が正しかったことが分かりますね。


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