新川直司著 『四月は君の嘘』 -- 僕らは まだ 旅の途上にいる

この新川直司著 『四月は君の嘘』ってマンガ、本当に本当に面白かった。息子に勧められて読み始めたら、止めることが出来ずについつい真夜中まで。

四月は君の嘘

この本の素晴らしさや面白さを伝える言葉を持っていそうもないので、ここで紹介するのも気が引けるんだけど、でもどうしても紹介しておきたくて。

でも、どう考えても私の乏しいボキャブラリで、この素晴らしい本を紹介しようとすると、「なに、この手垢の付いた陳腐な言葉の羅列は」みたいな感じになってしまいそうです。( 『四月は君の嘘』の中に「陳腐」って言葉が何度も出てくるので、癖になったかな)

うーん、何が面白い要素なんだろ? テーマ? ストーリー? キャラクター? 色んな要素があるけれど、そのどれもが高いレベルで融合して、そして綺麗に結実してるんだろうな。

連載途中で読むのは、きっと拷問のようだった?

主人公は14歳の天才ピアニストと破天荒なバイオリニスト。

中学3年生ですよ。演奏家ですよ。そりゃもう、「瑞々しい」とか「情感あふれる」といった類の言葉をいくらでも使えるような舞台設定だけど、それが読者にストレートに伝わってくるのが凄い。

ピアニストとバイオリニストが主人公のマンガなので、当然演奏シーンが至るところに出てくるんだけど、その演奏が聴衆にどんな感じに伝わっているのかを、いかに上手く描写出来るかが、この手の題材の肝ですよね。

そしてこの作品も見事に、 “音” や会場の張り詰めた空気や熱気、そして聴衆の心の中に湧き起こる感情の高ぶり・・・・・あらゆるものが伝わってきます。もう、言うことありません。素晴らしいです。

本の中で演奏されている楽曲を私は知りませんが、YouTubeで「四月は君の嘘」で検索すると演奏を聴くことができるので、それを聴きながらその楽曲のシーンを読んだりしてました。

ただ、一つ言えるのは、この本を連載中に読んでいた人は、かなり辛かったんじゃないかな。こんなに引き込まれて続きが読みたくなる本は、本当に久しぶり出合いました。

私の場合は、息子が買ってきた全巻を手元に置いて読み始めたので良かったけど、これを週間で少しずつなんて拷問のように感じたんじゃないかな。

もしも連載中に出会っていたとしたら、多分読み始めずに完結するのを待ったんじゃないかな、って。それくらい面白くて、物語の中に引き込まれてしまったんです。

ピアノを題材にしたマンガとか小説とか

のだめカンタービレこの本を読んでいたら、同じ音楽を題材にした 『のだめカンタービレ』を読み返してみたくなり、本棚から引っ張り出してきました。

こちらも 『四月は君の嘘』と同じように(もちろん、表現方法はまったく違うけれど)絵の中に音楽を聴くことが出来た本だったんです。

なので、表現方法の違いや、それによって伝わってくるイメージの違いを感じてみたくて、ね。

で、どんな違いがあったか、って? それを言葉で伝えようとすると(私の表現能力では)陳腐になってしまいそうなので、ここでは控えておきます。

『四月は君の嘘』には、先述の通りピアノとバイオリンが出てきますが、メインはピアノでしょうね。『のだめカンタービレ』も色んな楽器が登場しますが、これも一番印象に残っているのはピアノ。

「マンガ ピアノ」で検索すると、上記の2冊以外にも一色まこと著 『ピアノの森』とか、くらもちふさこ著 『いつもポケットにショパン』とか何冊か出てきますが、意外と少ないかも。

ピアノ

マンガではなく小説だけど、浅倉卓弥著 『四日間の奇蹟』は私の中に大きなインパクトを残した本でした。一時、繰り返し繰り返し何度も読んだ本です。

指を失ったピアニストと脳に障害を負った少女が主人公。少女は、一度聴けばその楽曲のすべての音を記憶することができるという特殊な能力の持ち主、という設定で話が進みます。

小説だとマンガと違って “絵” さえもなく、音や風景や感情を表現するのは “言葉” だけ(当たり前だけど)。

なのに、ドヴォルザークの交響曲第九番やベートーヴェンのピアノソナタとか、どんな雰囲気の曲なのかさえ知らない私がイメージできるってのが、繰り返し読み返した一つの理由かも。

僕らは まだ 旅の途上にいる -- だから、まだ何かを伝えることが出来るはず

いま、これを書きながらフッと思ったことが。

漫画家は絵(とセリフ)で読者に何かを “伝え” 、小説家は言葉で伝え、演奏家は音で伝え、画家は絵で伝え・・・・・そうか、読者は、聴衆は、観客は、その “伝わってくるもの” に感動するんだ。

まったくもって当たり前のことなんだけど、自分で言葉にしてみて、何かが自分の中に想起されたような気がしています。

じゃや、芸術家でも何者でもない “私” は、どういう手段で、何を伝えるんだろうか? あるいは、何を伝えたいんだろうか?

うーん、なんかまとまりのない紹介になってしまいましたが、個人的に本書の中で一番印象に残った言葉で締め括ることにしましょう。

主人公の有馬公正が言う言葉なんだけど、「モーツァルトは旅をしろと言った」に続けて、

僕らは まだ 旅の途上にいる。

もちろん14歳の少年になら堂々と言える言葉ではあるけれど。でもね、50歳だろうが、80歳だろうが、堂々と胸を張って言えばいいんですよね。

僕らは まだ 旅の途上にいる。
だから 進むんだ。



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