今井芳昭 著 『影響力』 -- 馬は(人も)ニンジンに影響される

積読。なんて読むか知ってますか? 「つんどく」って読みます。意味は、本を買うだけ買って読まずに積んだままにしておくことで、「積んでおく」と「読書」をかけた駄洒落的な合成語です。

読書が家庭における娯楽の中心であった明治時代に普及した言葉らしいのですが、本棚にしまったまま読まないのも、積読って言っていいのかな?

本積み重ね

私の本棚にもたくさんの積読本があります。いわゆる「本棚の肥やし」ですね。大概は、価格的に高めの厚くて立派な本が積読本になる可能性が高いかな。

そんな一冊に、ロバート・B・チャルディーニ 著 『影響力の武器』という本があります。買った当時の値段(10年前!)は3300円(+税)で、厚くて立派な本です。既に古典とも言える本。

いつか読もう読もうと思っている内に、10年の歳月が流れてしまったんですね。

今日の本題は、こちらの本

いや、今日はこの本を紹介しようってことではなく、この本に取りかかる前の準備体操として読んだ、今井芳昭 著 『影響力』を紹介しようと思います。

影響力「影響力」って何でしょうか? 

ま、認識に大きな違いは無いと思うけど、

「何らかの事象によって、受け手の『ものの考え方』、『行動』、そして『感情』に変化が生じた場合、受け手は与え手から “影響” を受けたことになる」

改めて言葉にしてみるとこんな感じかな。

例えば以前、家電量販店にプリンタを買いに行き、プリンタ売り場を見て回っていると、2人の若い男性の会話が耳に入ってきました。

「A社のプリンタは、結構、故障が多いんだってさ」

もちろん、彼らとは何の面識もありません。

従って、彼らが各社のプリンタに対してどれくらいの知識をもっているのか知る由もありません。それでも私は、それ以来、プリンタの購入を検討する際、A社を候補に考えることは少なくなりました。

これが、いわゆる “影響” というものです。本書で扱う影響力とは、「人に何らかの影響を与えることのできる能力」のことであり、個人の能力だったり、集団や社会といった場合もあります。

影響力を生み出す “資源” となるのは、「賞」と「罰」

さて、私たちは、どのような人から影響を受けやすいのでしょうか。どのようなものを持っている人、あるいは、どのような特徴、特性を持っている人から影響を受けやすいと思いますか。

そんな観点から分類すると、影響力は大きく分けて6つに分類されるようです。(でも、ここでその6つの中身を羅列していっても仕方がないと思うので、興味ある人は調べてみて下さい)

ところで、この6つに分類された影響力全てに共通する(影響力を生み出すための) “資源” があります。それは、賞(手に入れたいと思うのもの)と罰(避けたいと思うもの)の2つです。

私たちの脳は「賞」を獲得し、「罰」を回避したいというようにプログラミングされているので、賞や罰が影響力のすべての源泉となるのです。

中でも、この「賞」と直接関わる「賞影響力」は一番分かりやすいでね。

これは、人の行動を変えたいと考えた場合、その人が手に入れたい、欲しいと思うものを示し、その人の行動の変容と引き換えにその賞を与えると約束することによって生み出される影響力です。

馬とニンジン

馬にとってはニンジンが(美人さんが?)賞になるでしょうし、私たちはその人の状況によって、おもちゃだったり、お金だったり、あるいは “認められること” が賞になることもあるでしょう。

そして影響力というのは、「自分以外の誰か」だけが持っているものではなく、物であったり、事象であったり、あるいは自分自身も自分に対しての影響力を持つことが出来ます。

例えば「釣り」。釣果という直接的な賞以外にも、魚からの手応え、開放的な空間で楽しめる、持って帰った魚で家族が喜んでくれる等々、様々な賞で釣り人を海へ川へと引っ張り出すのです。

(積読の次は、釣果。なんて読むか知ってますか? 「ちょうか」って読むんですね。私、間違えてた)

満員電車も会議も上司からの叱責も、週末出かける予定の釣りのことを考えるだけで、あなたの感情には大きな変化(影響)が生じることでしょう。

あるいは、私たちが自分の人生に良いことをもたらすであろう何らかの行動(例えば早起きとか)を習慣にしようとする時も、この賞影響力を有効に使うことで容易に実現できるかもしれません。

早起き出来た日には、大好きなケーキを一つ食べていいといった「自分にご褒美をあげる」ことにしたり、もしかしたらカレンダーに◎を記すといった些細なことでも賞になる人もいるでしょう。

宿泊中にタオルを再利用することによって環境に配慮・・・

先の6つのカテゴリからは外れますが、「社会的証明」と呼ばれる影響力もちょっと興味深い。

これは例えば、「数多くの人がやっていることだから、それは社会的に正しいことであり、正しいと証明されているに違いない」という判断の元に行動する(影響を受ける)もの。

「値段の高いものは、良いものに違いない」とか、「多くの人が買っているものは、良い商品に違いない」といったことですが、逆に社会的に望ましくない場合もあるようです。

例えば駅前での駐輪、タバコのポイ捨てなどの迷惑行為がなかなか無くならない一つの要因が、この社会的証明というものにあるそうです。

一方、この社会的証明を社会に活かすこともできます。

皆さんもホテルに泊まった際に、連泊客にタオルの再利用(翌日、新しいタオルを用意せず、もう一日同じタオルを使ってもらう)をお願いするメッセージを見たことがあると思います。

タオル

あるホテルで、このメッセージの文面を色々と変えて、その効果を2ヶ月間に渡って測定するという実験が行われました。

いくつかの文面で行われたのですが、シンプルに、「環境保護のために・・・・・」というメッセージの場合、タオルの再利用率は宿泊客の1/3に過ぎませんでした。ところが、

「環境を保護するために、ほかのお客様の輪に加わって下さい。調査では、宿泊中にタオルを再利用することによって環境に配慮された○○号室にご滞在のお客様が75%いらっしゃいました。お客様もこの輪に加わることができます」

というメッセージに変えると、宿泊客の約半分がタオルの再利用をしたそうです。

既に環境保護活動をしている人たちがいて、その人たちの輪に加わって欲しいというコメントを加えると、再利用率は上がり、更に、タオルの再利用を実行している人と宿泊客の類似性(この場合、同室ということ)を強調すると、さらにその数字が上がったのです。

自分と似ている人の行動には、人はいっそう影響を受けやすいようです。



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