Kindle 用デジタル($1)Book を何冊か紹介

少し前に Kindle Store の$1Bookのことを紹介しました。私が勝手に命名したものですが、Kindle 用のデジタルコンテンツで価格が大体$0.95~$1.05くらいの本のことです。

その時の紹介の仕方は、「値段相応にページ数が少ないけど、それだけに簡単に読めて、ストーリーの展開もスピーディーで、直ぐに盛りあがってそのまま結末」ってのがいいよってことでした。

この「値段相応にページ数が少ない」というのは、短いと70ページくらい、長くても120ページくらいの本を想定して言っていたのですが、流石に何冊も読んでいると、話の展開がちょっと唐突過ぎる(底が浅過ぎる)って感想を持ち始めました。

(恥ずかしながら)このところ愛読しているのはヒストリカルロマンス(1800年代くらいのイギリスを舞台にした恋愛小説)なんですが、それまで見ず知らずの男女が出会って、突然恋に落ちて、色々とあって、「そしていつまでも幸せでしたとさ」って終わるのに、100ページは余りに足りないようです。

登場人物の造形なんて構ってられない、みたいな感じに成りがちかな。

でも設定が上手くて、100ページ程度でも十分に楽しめる小説も勿論あって、そのいくつかを紹介してみたいと思います。

Courtney Milan 著 「Unlocked」

unlocked例えば、これ。Courtney Milan 著 「Unlocked」。$1.06で111ページと、まあ典型的な$1Bookです。

ヒーロー(Evan)とヒロイン(Elaine)は昔から知り合いなんだけど、Evan の Elaine に対する悪口が原因で、Elaine は wallflower になってしまい、このまま spinster になる運命に。

wallflower とは文字通り「壁の花」のこと。社交界のパーティーってダンスを中心に回っていくんだけど、男性からダンスに誘われない女性が、壁にへばり付いている状態を表しています。

また、spinster を日本語風に言うと「オールドミス」でしょうか。wallflower でいるってことは、男性からのお誘いが無いってことですから、その先に待っているのはオールドミスになる運命なんです。

Evan は自分の悪口が原因で Elaine を辱めてしまったことを悔いてロンドンから身を隠します。そして10年の年月が流れ、Evan がロンドンに帰って来るところから物語はスタートします。

10年ってどうなのよって思いもあるけど、Evan の悪口から始まった社交界の女性達の Elaine に対する陰湿ないじめの話とか、でも一つのきっかけでいじめの中心人物が謝罪をしたりと、高々111ページにしては深みの感じられる小説でした。

最後は Elaine が Evan の謝罪を受け入れて、そして2人は恋に落ちてハッピーエンドってお決まりの流れなんですが、そこに至るまでの登場人物それぞれの心の葛藤が面白かったです。

Sherry Thomas 著 「A Dance in Moonlight」

a dance in moonlightSherry Thomas 著 「A Dance in Moonlight」は、僅か85ページしかありません。

ヒロイン(Isabelle)は、子供の頃からずっと思い焦がれていた初恋の男性に失恋してしまい、絶望して町を離れようとしていた日に、一人の男性(ヒーロー)が家を訪ねて来ます。

このヒーロー(Ralston)、なんと失恋した相手と瓜二つで、Isabelle は私のところにやっぱり戻って来てくれたのねと勘違いし、彼に抱きついてというところから話が進んでいきます。

まあ、微妙に荒唐無稽な設定という気がしないでもないですが、これはこれで設定の妙でした。

Isabelle は当初、Ralston の中に初恋の男性の姿を見ていて、Ralston の方もそれで彼女の慰めになるのならと思っていて、でも周りの人たちはそれは Ralston に申し訳ないだろと思って。

途中から Isabelle は Ralston その人を好きになるのですが、周りはやはり「いやいや、やっぱり彼の代役の積りなんでしょ」って理解してくれなくて、そこに色んな葛藤が生まれていきます。

これはやはり設定の面白さで、話に奥行きを与えているような気がします。

C.J. Archer 著 「Courting His Countess」

courting his countessC.J. Archer 著 「Courting His Countess」は、最近買った中では一番短いかも。正確には分からないけど実質的には60ページ前後。

この本は、短かったけれど本当に面白かったです。

ヒーロー(Thomas)とヒロイン(Rose)は6年前から夫婦でという設定で話が始まります。

ただ、Thomas は結婚式が終了した夜、花嫁(Rose)の部屋に行かずに、愛人の元へと行ってしまい、そのままイギリスを離れます。

そして6年後、Thomas は家へと帰って来るのですが、(様々な事情があったにせよ)当然のことながら怒り収まらない Rose と出会って、そして話が進んでいきます。

Rose と Thomas は昔から隣人同士で、そして Rose は子供の頃から Thomas に恋していて、それだけに裏切りが許せなくて、でもやっぱり Thomas のことが好きで。

Thomas の方は Rose のことをそんな目で見ていなくて(結婚した時 Rose はまだ15歳)、でも帰って来て美しく成長した Rose に恋をして。

そんな二人の思いや感情が入り乱れながら話が展開していくのですが、女王と貴族の関係みたいな話も出てきて、短いながらも十分に楽しく読むことができました。

200ページ前後の本がベストかな

もちろん、話を広げていく著者の技量によるところが大きいのですが、物語の設定(前提条件?)がすんなりと受け入れられるもの(尚且つ、興味を喚起されるもの)であれば、短くても十分に楽しめる小説はたくさん存在していると思います。

それでも、登場人物の性格作りなどは浅いものになりがちなので、その分、その小説世界への思い入れが浅くなってしまうのは、どうしても仕方のないことのように感じます。

実は、「$1Book は短い」というのは単なる私の思い込みであって、$1Book の中にも200ページ、300ページという本もたくさん存在していました。

そして色々と読んで私なりにたどり着いた結論は、200ページ前後の本がベストかなってこと。

思い入れ出来るような奥の深い登場人物の造形には、最低でも150ページは必要かもしれません。

でも、これが300ページ超となってしまうと、読んでいる途中でダレてしまう(物語の展開的にも、私の気持ちの維持的にも)部分が出てきてしまう可能性が高くなるように感じます。

もちろん、著者の技量に拠るところが大きいし、中には終わらずにもっと長く読んでいたいという本があるのも事実ですが。

ということで、次回、200ページ程度の “中編” 小説を紹介してみたいと思います。


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