羽海野チカ 著「3月のライオン」 -- 人生のレースに参加したい

久しぶりにマンガの紹介。羽海野チカ 著「3月のライオン」。

これも、子供から面白いよって言われて読み始め、そしてハマってしまった本。

連載開始から既に6年以上過ぎているのに、コミックスの方はまだ9巻までと非常に遅いスピードで進行しているようです(休載が多くて、実質不定期連載になってるのが原因らしい)。

羽海野チカさんと言えば「ハチミツとクローバー」がとても有名ですが、こっちは6年間で全10巻完結してるんですよね(と言っても、6年間で10巻ってのは、こっちのペースとあんまり変わらないか)。

主人公は、中学生でプロ棋士になり神童と呼ばれる少年桐山零。彼が棲む将棋という世界を舞台に、川本家の三姉妹(あかり、ひなた、モモ)や高校の担任の先生、対戦相手などとの交流を通して心に負った傷の癒し、そして成長が描かれています(完結までまだ何年もかかりそうですが)。

桐山零は事故で両親と妹を亡くし、川本家の三姉妹も母親と祖母を(何らかの原因で)亡くし、父親は家族を捨てて出て行ってしまったという背景の中でストーリーは展開していきます。

ストーリーが面白いのは当然として、心に響いてくる言葉やシーンがたくさんあるんです。そんな中からいくつかを紹介したいと思います。

リングに上がりもしねーで、野次だけ飛ばしてんじゃねえ!

先ずは、川本家のおじいさんが言うこんな言葉から。

恥なんてかいてナンボだ
「失敗した」って事は
「挑戦した」って事だからな

何もやんねーで
他人の事笑ってる人生より
ずっとマトモだ

「なぁに そのうち大人になりゃあいやでも気付くさ」と、おじいさんの言葉は続きます。

どんなヤツでも
一線でやってる人間で
恥をかいた事無いヤツなんて
いねぇってコトにな

同じような事を、(れい君が敵対視する)ある棋士が言うシーンもあります。

タイトル戦に負けてから最近精彩を失くしている棋士のことを、他の棋士たちが揶揄している場に、この棋士が現れて彼らにこんなことを言います。

ふぅん 気楽でいいなぁ
タイトル戦に縁のないヤツは

(人のことより)タイトル戦にも出れずに終わるかもしんない
自分の人生の心配でもしてろよ

彼らがすごすごと立ち去った後の彼の言葉がこれ。

リングに上がりもしねーで
野次だけ飛ばすヤツを見ると
虫唾が走るんだよ

そうなんです。「リングに上がりもしねーで野次だけ飛ばすヤツ」になってはいけないんです。それは、自分の人生の “傍観者” になるってことですから。

もう40年も前の本なのに、強烈に印象に残ってるんです

けっぱり先生別の本のことを思い出しました。私の大好きな山口瞳さんの長編小説「けっぱり先生」です。

手元の本の奥付を見たら、昭和47年発行になっていますので、私が読んだのも40年近くも昔のことですが、未だに強烈に印象に残っているシーンが本の終盤にあります。

新聞記者の宮川は、「仰げば尊し」を歌わない学校があると聞いて、その学校の校長である猪俣先生(通称「けっぱり先生」)に取材を申し込みます。

ここから様々な物語が展開していくのですが、宮川は猪俣校長に「あなたの学校の先生にして下さい」と頼むシーンがあります。そこで宮川はこんなことを言うんです。

「新聞記者も意義のある職業です。私は決して嫌いじゃないのです。(中略)しかし、それは評論家の仕事です。解説者の仕事です。
私はレースに参加したいと思ったのです。人生のレースに・・・・・。

確認のために読み返していたら、私の人生に大きな影響を与えたもう一つの言葉も見つけてしまいました。出所を忘れていたんです。この本は改めて別の機会に紹介しましょう。

話がずれて、思わず長くなってしまいました。もう一つ二つ、軽く。

誰かに頼れる人でないと、誰もあなたに頼れない

れい君が一人で色々と思い悩んでいる時、担任の林田先生の言葉。

一人ではどーにもならん事でもさ
誰かと一緒にがんばれば
クリアできる問題って
けっこうあるんだ

そうやって力をかりたら
次は相手が困ってる時
お前が力をかしてやればいい

世界って
そうやって
まわってるんだ

林田先生は、「あのな 大事な事だぞ」って、力を込めて続けます。

一人でどうにもならなくなったら
誰かに頼れ

でないと実は
誰も
お前にも
頼れないんだ

誰かに頼るのはイヤだって突っ張って生きている人には、心に沁みる言葉です。

多分、多くの人が「人から頼られる人」になりたいって思いながら、でも自分は人には頼りたくないって思いがあるのではないでしょうか。

もちろん、意地であったり、自尊心であったり、それはそれで大切なことなんですが、「時には誰かに頼る」という気持ちの無い人には、人は頼れないというのも真理のような気がします。

うーん、結局2つで既に長過ぎかな。もう少し続けたいので(その2)に続きます。


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