虫眼鏡の働きって “拡大” ではなく “近づけて” くれるだけ?

レンズの話も5回目に入りましたが、元々探し求めていた疑問は前回で解決済みです。なので、(多分)最終回となる今回は “おまけ” 。

このレンズのお話シリーズは、万華鏡を作るに際し、本やネットで調べて見つけた「ミラーの長さは、あまり短過ぎると眼の焦点が合わないので20cmくらいが適当」といった言葉を信じて作ったものが、「なんかぼけて見える」ってところからスタートしています。

調べて分かったのは「明視距離」というものがあり、眼に近づけた対象物がぼやけないで見ることが出来る最小の距離のことで、正常眼の人で約25cmくらいになるってこと。

「あれー、じゃあ20cmではなく25cmで作るのが正しいんじゃないの?」って思いましたが、これまた色々と調べていくと、この明視距離は年齢によって(個人によっても)異なるそうで。

そうかっ、お土産屋さんの万華鏡は若くないとスッキリ見えないんだ!

人の眼は水晶体の厚みを変化させることで、遠くから近くまで焦点を合わせることが出来る訳ですが、この「厚みを変化させる能力=調節能力」をディオプター(D)という単位で表します。

このディオプターとは、レンズの屈折力を表す単位でもあり、その数値は焦点距離の逆数(1/焦点距離:m)となります。例えば焦点距離25cmのレンズは、4D(1/0.25)となるわけです。

眼の調節能力は加齢と共に全ての人が低下していきます。そして、この調節能力が4Dを下回るのが老眼と言われるものなんです(←「私が理解した限りでは」、ですけど)。

4Dとは、先に書いたとおり焦点距離25cmのレンズです。この数値より下回るということは、25cmの位置の文字がぼやけ、30cmの位置の文字がぼやけ、50cmの・・・・・ってことです。

年齢に対する調節能力の一般的な目安は諸説ある(当然、個人によっても違う)ようですが、子供の頃には15D近くあったものが、まあ大体40歳で4Dくらいまで衰え、更に・・・という感じかな。

逆に言うと、40歳より若い人は、便宜上使われている「明視距離=25cm」より、実際の明視距離は短いってことです。目安的には、30歳で7D、20歳で10Dという数値を見つけました。

子供が本を
これでいくと、30歳だと14cmの距離のものが見え、20歳ではなんと10cmまで近づけてもぼやけることなく見ることができる訳です。(私はもうとっくに通り越しちゃってますけどね。トホホ・・・)

っていうことは、20cmの万華鏡でも30歳の人は何ら問題なく見えるってことに。更に言えば、若い人向けなら長さ10cmの万華鏡を作っても、レンズも何も必要無いことに。

なるほどー。いま気が付きましたが、お土産屋さんで売ってる万華鏡や、子供たちが「工作の時間」で作る万華鏡の胴体の長さは、せいぜい15cmくらいしかなかったなと。

お土産万華鏡2
あれにレンズが付いているとは思えないので、子供(若者)バージョンだったわけですね。

もしも裸眼で1mmの距離でモノを見ることができたなら・・・256倍に見える!?

ところで、40歳の人が25cmの距離でしか見ることの出来ないものを、20歳の人が12.5cmの近さで見たとしたら、2倍の大きさで見えるってことですよね。

「見える大きさは距離に反比例する」わけですから。

ってことは、6.25cmの位置で見たら4倍に、3cmの位置で見たら8倍に・・・・・1mmの距離で見たら(見ることが出来たなら)、25cmのところで見るものの256倍の大きさに見えることに。

ここまで考えた時に思った事は、虫眼鏡や顕微鏡って、“そういうこと” なんじゃないのかと。

もちろん、人の眼が裸眼で1mmの距離のものを見ることは不可能です。でも、眼の水晶体の屈折率を(虫眼鏡や顕微鏡といった)レンズの屈折率で補助してあげることで対象物と眼との距離を縮めることは出来るわけで。

だって、老眼鏡の仕組みってそういうことですからね。

50cmのところまでしか焦点の合わない水晶体に、レンズ(+2度)で25cmのところまで眼と対象物との距離を近づけてあげるのが老眼鏡です。

ということは、25cmの代わりに12.5cm、6.25cm・・・・・1mmの距離へと近づけてあげればいい。

理論が分かると、どんなレンズでも倍率とか屈折率とか導き出せるんだな

例えばこの虫眼鏡。随分昔に買ったので倍率も何も分からないレンズです。

昔の虫眼鏡

太陽光を集光して焦点距離を測ってみると、大体15cm~16cmという感じ。16cmの焦点距離とすると、このレンズの倍率は[(25cm÷16cm)+1=2.56倍]となります。

切りのいいところで2.5倍の虫眼鏡と想定し、(同じく上の式で)焦点距離を計算し直すと焦点距離は16.7cmとなります。

この焦点距離16.7cmから虫眼鏡の屈折率(ディオプター)を計算すると、[1/0.167=6D]。

この虫眼鏡の屈折率6Dに、正常眼の屈折率を4Dとして加えると10Dとなり、この10Dの「虫眼鏡と眼の水晶体との合算レンズ」の焦点距離は[100cm÷10D=10cm]となります。

実際にこの虫眼鏡を覗いて、一番スッキリと見えるところ(焦点の合うところ)を探し、そこで対象物との距離を測定してみると大体9.5cmくらいになります。

ということで、計算上の「合算レンズ」の焦点距離は、実測値とほぼ一致することに。

レンズ無しに10cmまで近づくことが出来れば、やっぱり2.5倍で見えるわけで

さて、25cmの距離から見た対象物の大きさを「1倍」と定義すると、10cmから見るということは2.5倍の大きさに見えるということです(レンズの存在とは関係無しに)。

ね!

要は、虫眼鏡(レンズ)は対象物を “拡大” して見せてくれるのではなく、眼と対象物との距離を近づけてくれる働きをしてるに過ぎないってこと。

眼と対象物とが近づいたから、結果的に対象物が大きく見えるのであって、それはいわゆるレンズによる “拡大” ではないのではないか。

うーん、私の言いたい事、伝わったかな?

これって、考え方が間違っているのかもしれないし、逆に詳しい人から見たら “常識” なのかもしれないし、まあどちらか(どちらでもないのか)分かりませんが、自分的には「オー! スゴイ!」って自分に感動しています。

レンズに関する知識の収集と考察作業、個人的には非常に有意義で面白かった!



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